映画について

感想コメント

いま何となく不安になっている日本人が、これからどうやって自信を取り戻したらいいのか。その根源がこの映画に隠されていると、私は実感しました。自然に対する畏敬のような心を持って、里山や鎮守の杜を大切に守り、海と森と断絶されることなく生きて来た日本人。それが今は崩れてしまったかもしれないけれど、もう一度、脈々と流れて来た日本人の自然に対する心を思い出せれば、「まだ間に合うよ、大丈夫だよ」と教えてくれている。そんな映画のような気がします。

阿川佐和子(作家)

今、3,800 メートルを越える、ヒマラヤに、森をつくろうという活動を始めた。本当にできるんだろうか?と思うかもしれないのだが、日本の技術を使えば、それができるってことがわかった。日本は、この映画にもあった、伊勢の森や、近くでは明治神宮の森など、動物が住める森を、100 年後を見越して作ってきた。そんな歴史がある日本の森は本当に素晴らしいし、日本のDNA ってすごいってことを感じさせてくれた映画ですね。

野口 健(アルピニスト)

写真家の監督作品だけあって、まずはその映像の美しさに圧倒される。その映像に負けないほどの存在感を発揮していた「音」も印象的だった。うみやま「あひだ」――はじめは河川のことを指しているのだと思っていたが、おそらくは違う。海と山のあいだに位置するわれわれ人間が、自然に対してどう向き合っていくのか。そのことをタイトルで問うているのだと感じた。

乙武洋匡(作家)